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2012年8月12日 (日)

前橋、名前の無かったもの巡り③ 前橋駅前「建設と平和」像


はじめに

 私がその銅像にはじめて違和感を覚えたのは、今から30年ほど前のことです。

 当時私は小学生で、たしか社会科見学のため前橋駅を訪れたのだと思います。

 その頃の前橋駅はまだ旧駅舎で、北口の広場に大きな噴水がありました。

 その噴水の頂点に、その銅像は建っていたのです。

 広場で私たちは体育座りをし、先生のお話を聞いていました。

 しかし私は先生のお話にはほとんど耳を傾けず、ぼんやり銅像を見上げていたのです。


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(昭和50年代の前橋駅と銅像)


Dsc_0608

(男性と女性の像が背中合わせで、しかも板で遮蔽されている)

 「なんか変だ…。どうしてこの二人は背中合わせに立ってるんだろう。それに大きな板で遮られている。ふたりとも、お互いの顔なんか見たことないんじゃないか?それどころか、自分の後ろに誰かいる事さえも知らないんじゃないか…?

 

 そんな風に思った記憶があります。

 

 

 

 その後、昭和58年(1983年)から駅と周辺は再開発整備が行われ、駅舎は現在の形となり、北口はロータリーとして整備され、平成元年(1989年)に工事は終わりました。

 

 銅像は、生き残りました。しかし、その姿はずいぶん変わっていたのです。

 

                             

37763651

(平成元年1989年の銅像)

 噴水は無くなりましたが、新しい台座を与えられ二人は建っています。

 しかしもう背中合わせではありません。仲良く並んで建っています。

 

 当時、高校生となり通学等で前橋駅を利用していた私は、「よかったな。二人ともうれしそうだ。」と思ったものです。

 

 

 

 平成24年(2012年)、つまり今年、前橋駅前は再度の整備が行われました。

 

 銅像は場所を移しながらも、いまもロータリーの中央に建っています。

 

 私も40代に入ろうとしています。

 

 

 

 さて、私はこのブログ内で、「前橋、名前の無かったもの巡り」というシリーズを書いています。

 

 そうは言っても世の中に「歴史がながいのに名前の無いもの。または無かったもの。」なんてそうはありません。

 

 ネタがないなあ・・・。と思いながら、いつもの自転車通勤のコースである前橋駅前で信号待ちをしていると、あの銅像が目に留まりました。

 

 「さすがにあの銅像に名前が無いなんてことはないな。なんだか台座に銘版もはられてるし。」

 

 しかし、それから毎日、どうも銅像が気になるのです。なんだか変な話ですが、銅像が

「ちょっと私たちの事を調べてくれませんか?あなたとはもう長い付き合いですから…。」

 

 と言っているように思えたのです。

 

 

 「まあ、とりあえずさっと調べてみようか。名前の有無だけでも。」

 

  

 

調査を始めると、やはり…。

 

 

 

 この銅像には名前が無かったのです。
 

 生まれた時から現在に至るまで60年間、彼らには名前がなかった。

 様々な通称は与えられてきましたが、それはすべて仮の名なのです。

 

 

 

 なぜ名前が無いのか?前橋駅前の銅像が伝えたかった事はなんなのか?


 その答えを探るうちに、戦前から戦後にかけてのパブリックアートの変遷や、国や行政と美術界の関係、そしてある彫刻家の人生とその転機が浮かび上がってきました。

Dsc_0581
(現在、2012年の銅像)

 こうして私はこの銅像に導かれ、60年間を遡る旅に出ることになったのです。

                                                 つづく…。

(続きますが、かなり長くなりますので、連載の形をとらせていただきます。誰も興味がないことは承知しておりますので(笑)、日々の記事の後に少しづつ書き進めていこうと思っております。興味があるという奇特な方、次回をお楽しみに!)

 

 

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コメント

はじめまして。
素晴らしいブログを発見して、興奮しております。
思わず過去の全ての記事を、2度読んでしまいました。
お怪我、大変そうですね。お見舞い申し上げます。
yagita様の感動の復帰劇と、名もない二人の物語も楽しみにしております。

kisa様、コメントありがとうございます。

つたないブログですが、楽しんでいただけるようでしたら光栄です。

前橋駅の銅像に関しての連載は、皆様興味ないだろうと思い恐る恐る始めたのですが、さっそくご声援をいただけましてホッとしましたcoldsweats01

「自転車関係ないじゃん!」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、一応取材は全て自転車でまわっています。

まだ取材中なのですが、実際にいろいろな方のお話を聴いて、それを紡いでいくのは楽しい作業ですよ。

これからもどうぞお付き合いください。

こんばんは。

視点が素晴らしく、感服しました。

社会科の副読本に採用されてもいいような内容と思います。

私も、たまに、自転車で前橋駅まで走る事があります(自宅から片道50km)ので、次回、銅像を良く見学したいと思います。

組長様、いつもコメントありがとうございます。

内容をほめていただいてうれしいのですが、この連載の内容は、だんだん読むのが嫌になる展開をたどっていきます。

なるべく嫌な思いをさせたくないのですが・・・。

現在タイプした原稿がA4-60枚以上たまっていて、増殖中です。

取捨選択が大変です。

前橋駅前に噴水があったころ、私は恋をしていました。
自転車にのった彼は今ごろどこでなにをしているのでしょう。
伝えたかったことがあったのですが。
前橋駅というだけで、熱い思いがこみ上げてきます。

先日、前橋に出張に行きました。あまりの変貌ぶりにショックを受けました。
噴水もなくなっていて、駅のホームから見えた赤城山も美しくないビルが邪魔して、興ざめでした。
中央前橋駅周辺もすっかり変わってしまって・・・、悲しい限りです。

噴水の思い出様、コメント誠にありがとうございます。

前橋駅前の噴水は、一代目、二代目とありますが、二代目の想い出でしたら、その頃、年若い私も恋をしていたかもしれませんcoldsweats01

前橋は地方都市の中でもトップランナーとして衰退の一途をたどりながら少しずつ変貌しています。

何もない前橋…。

ですが、あなたの思い出の中に、淡くも輝いた前橋があるのをうれしく思います。

自転車に乗った彼は、今どうしているのでしょうね。

伝えたかったことが、伝えられぬまま、自分の生きる糧になることもあります。

いつまでも変わらぬ想いが、流されて変わっていく自分を支える碇となることもあります。


同じ空の下のどこかで、彼もあの噴水を、遠くから懐かしんでいると思いますよ。

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