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2014年11月 7日 (金)

こんな夢を見た。

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いつものように、知らない土地を自転車で旅している。


今日泊まる街までどうも到着が遅くなるなあ、近道がないかなあと地図を見ると…。

今いる国道から脇に道がある。川沿いの道だ。その道の方が目的地にショートカットできる。でも地図上ではだんだん細くなっていて、舗装されているのかもわからない。

とにかく行ってみようと思い、道を進むと…、どんどん辺りは寂しくなる。

人家も無くいつの間にか行き止まりに着いた。その傍らにひとつ石碑が建っている。


石碑は慰霊碑だった。裏に回ってサッと碑文を読むと、今から40年以上前にこの辺りの水害で集落が壊滅し、多数の死者が出たと書いてある。

「ああ、そんなことがあったんだなあ。」と、その石碑の先の藪とも雑木林ともつかない茂みを見ていると、どうもそれを越えれば道が開けているのではないのかと感じる。

「ここを抜ければ道があって近道できるんじゃないか?」という気がしてそこに自転車を押して踏み込んでみる。


案の定、茂みを越えたら道があった。でも舗装されていない。そのうち舗装された道に出るだろう。なんだか人の住む集落の感じもしてきたし…。


ふと、後ろを振り返ると、不思議なことに自分が越えて来たはずの茂みがない。あれ?どこからここに来たんだっけ?よくわからない。


そうやって自転車を押して道を歩いていると、空き地があり、そこで子供が3人遊んでいる。


バットとボールを使って、野球遊びをしている。

声をかける。「君たち、この先に道は通じているかい?」

3人の子供は驚いた表情で私の顔を見る。

「おじさん、どこから来たの?」

「その辺の茂みを越えて来たんだ。」

「ふーん…。あの、おじさん、一緒に遊ぼうよ!」


しばらく子供たちと野球ごっこをして遊ぶ。でも、変だ。


第一、子供たちの服が…。まるでドリフの全員集合の母ちゃんコントに出てるメンバーみたいな服装だ。

それに、野球ごっこの最中、夢中になっている子供たちは、バッターになるたびに「長嶋だ!」「王だ!」と言っている。


ああ、ここは…。


もう夕暮れが近い。先を目指さなくては…。


「この先に集落はあるのかい?そこから街に道は通じているのかい?」

子供たちに聞いてみた。


3人は口ごもり顔を見合わせる。


でも、アキオ君という青い服を着た子は、思い切った表情で私の顔を正面から見つめこう言う。

「この先に僕たちの村はあるよ。でも行っちゃだめだ。帰れなくなる。」

…「帰るには、どうしたらいい?」

「僕が道案内するよ。おじさん。」

アキオ君と二人で歩き始める。他の二人の子供たちはすごく神妙な顔をしてそれを見送る。


アキオ君と歩きながら、将来の夢について話す。彼の将来の夢は、「食べたことのないハンバーグをおなか一杯食べる」ということだ。

「それなら簡単だろアキオ君。この先の国道沿いにびっくりドンキーがあったよ。」

しかし今どき、ハンバーグを食べたことのない子供なんて…。でも、ああ、そうなのだ。


青い服のアキオ君が先導した先に、あの茂みが現れた。ああ、ここから来たんだ。

「ありがとうアキオ君。元気でね。」

「あの、僕も一緒に行きたいんです…。」


もう、私もなんとなく察していたので…、


「…でもね、おじさんもなんとなくここのルールはわかった気がするんだ。迷い込んだ者は帰れない。ただし、この世界の者に案内してもらえば出られる。そうだろ?」

「うん…。」

「そして…、この世界の者は、よそから来た私みたいな者と一緒じゃなければ外に出られない。そうだな?」

「…。」

「でもアキオ君、出てしまったら、もう君はここに帰れないんじゃないか?本当にそれでいいのかい?君はどうなってしまうんだ?」

「…。」

「ハンバーグ食べたいか?」

「うん!」

「よし!わかった!行こう!」


二人で茂みを抜け、慰霊碑の脇を通り、てくてく歩いて国道に出る。

その街並みをめずらしそうな驚きの目で見渡すアキオ君…。


びっくりドンキーに入ってハンバーグを注文。

「こんな美味しいものは初めて食べた!」

とハンバーグのおかわりをするアキオ君…。


もう、夕暮れが迫っている。


「アキオ君、送っていくよ」というと、

「一人で帰れます。」

「でも、もう暗くなるから心配だ。」

「…大丈夫です。おじさんには、…これから先があるんでしょ?気を付けて行ってください。僕は来た道を帰るだけです。ありがとうございました。」

彼は深々とぎこちなくお辞儀をすると、くるっと向きを変え歩き始める。

「さよなら!アキオ君!」

「さよなら!おじさん!」

その時、とても明るい笑顔でこちらを振り向いて手を振るアキオの表情は、悲しいような嬉しいような、そんな神々しさがあった…。



国道を自転車でしばらく走ったが、やっぱりなんだか心配になり、引き返した。


わき道を進むと、あの慰霊碑があった。


自転車を止め、慰霊碑の裏にまわってみると、そのたもとには青い服がポツンと落ちていた。


夕闇が迫る中、慰霊碑に刻まれた水害の犠牲者の名を追っていくと、多くの名の最後近くに「○○昭夫」という名が読み取れた。


私は彼の青い服をたたんで慰霊碑の正面に置き、近くの花を摘んで手向け、手を合わせた。


そして慰霊碑の先を見た。そこに茂みはあるが、今見るとその先に開けた道があるとは思えない。深い森が続くだけだ。


昔、そこに水害に襲われた集落があった。…いや、今もあるのかもしれない。


時が止まったその世界から抜け出し、ハンバーグをお替りし、彼が雲の上に昇って行ったことを切に願った。たぶん、昇って行ったのだろう…。


こんな夢を見た。








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コメント

引き込まれる夢ですね。。。

城ホル様、コメント誠にありがとうございます。

ここ3週間ほど、ずっと家でも知人のお手伝いでPCに向かうばかりの生活で、通勤以外全然自転車に乗っておりません。

「秋空の中、あてどもなく旅に出てみたいなあ…。」という思いが、そんな夢を見させたのかもしれません。

でもやっと終わりました。

さあ、雨の降らない前橋のこの季節を楽しみたいと思います!(でも、どこかに飛ばされそうな空っ風もふき始めましたが…。)

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